第4章基本入力 — かな・変換・確定
この章では、écritu での毎日の入力 — かなを打ち、漢字に変換し、確定するまで — をひととおり説明します。候補バーの『鉛筆』と『循環矢印』の意味が分かれば、écritu の画面はもう読めたも同然です。
キーボードの全体像
まずは標準のかな配列[5×2]の画面全体を眺めてみましょう。何も入力していない待機状態です。
画面は大きく4つのゾーンに分かれています。
| ゾーン | 内容 |
|---|---|
| 候補バー(最上部) | 入力中の状態と変換候補が並びます。待機中は空です。読み方はこの章の後半で。 |
| 左列 | モード切り替えの縦1列。123=数字、abc=英字、あい=かな。今いるモードのキーは薄く表示されます(上の図ではかなモードなので[あい]が薄い)。 |
| 数字段+かな10キー | 5×2配列では最上段に数字1〜0が常設。その下にかなキーが横5個×2段で並びます。 |
| 下段 | 左から ☺︎(絵文字・顔文字・記号パネル → 第6章)、⌫(削除)、空白キー、小(修飾キー)、、(読点キー)、改行キー。 |
空白キーと改行キーは『変身』します:待機中の空白キーは無表示、改行キーは『⏎』(入力欄の種類によっては検索アイコン、[送信][開く][完了][次へ]などの表示)です。かなを入力し始めると、空白キーは[変換]、改行キーは[確定]という表示に変わります。詳しくは[変換と確定]で。
かな配列にはもう1つ[3×3+わ](iPhone 標準に近い配置・数字段なし)があります。切り替えは第8章、全キーの一覧は第9章をご覧ください。
開く面は入力欄の種類に合わせて自動で変わります:数値の入力欄では数字モード、URL の欄では英字モードで開きます。メールアドレスの欄はかなモードで開きます(メールの[宛先]では名前で連絡先を探すことが多いためです)。同じ欄の中で手動で切り替えた面は、そのまま維持されます。
フリック入力のきほん
1つのかなキーには最大5つの文字が入っています。タップすると中央の文字、上下左右に払う(フリックする)とガイド文字が入力されます。あキーを例にすると次のとおりです。
- タップ
- あ
- 上フリック
- い
- 右フリック
- う
- 下フリック
- お
- 左フリック
- え
キーに触れると、そのキーがアクセント色(初期設定はエメラルドグリーン)に変わります。指を払っている間は、いま離すと何が入力されるかを示す緑のプレビューカプセルがキーの近くに表示されるので、確認しながら入力できます。
キーの中央の文字のまわりに小さく書かれているのがガイド文字で、それぞれの方向にフリックしたときの文字を示します。初期設定(littlebear式)は iPhone 標準のキーボードと同じ『左→い、上→う、右→え、下→お』です。écritu 独自の écritu式(上→い、右→う、下→お、左→え。戦略的初期設定)に変更することもできます(第9章)。ガイド文字の表示自体を減らす・消す設定もあります(第8章)。
候補バーの読み方
かなを入力すると、キーボード最上部の候補バーに [状態ミニカプセル → 変換候補チップ → かなチップ(末尾)] の順で表示が現れます。
先頭のミニカプセルは、いまの状態をアイコンで示します。
| アイコン | 状態 | 意味 |
|---|---|---|
| 鉛筆(オレンジ) | 未確定 | かなを入力している最中。候補は表示されていますが、まだどれも選ばれていません。 |
| 循環矢印(アクセント色) | 変換中 | 空白(変換)キーで候補送りをしている間だけ表示されます。選択中の候補チップが緑にハイライトされます。 |
| ⊘(候補なし) | — | 変換候補が見つからないとき、カプセルの代わりに空集合アイコンのチップだけが表示されます。 |
チップは2種類あります。
- 変換候補チップ — タップするとその場で確定します。変換キーを押していなくても、目当ての候補が見えていれば直接タップするのが早道です。
- かなチップ(末尾) — 入力したかながそのまま出ています。タップすると変換せずかなのまま確定します。かなで書きたい語(『ありがとう』『ふわふわ』など)はこれで一発です。
かなチップは学習にも効きます:かなチップで確定した語(読み6文字まで)は[かなのまま使う語]として学習され、次からは変換候補にもかなが先頭で出るようになります(第7章)。
変換と確定
かなを入力している間、空白キーは[変換]、改行キーは[確定]に変わります。
- 変換キーを1回押す — 変換が始まります。先頭の候補が選択され、状態カプセルが鉛筆から循環矢印に変わり、入力欄の文字も選択中の候補に置き換わります。
- さらに変換キーを押す — 候補が1つずつ送られます。末尾まで行くと先頭に戻ります。
- 変換キーを長押しする — 押している間、候補が約0.2秒ごとに自動で送られます(0.5秒押すと始まります)。目当ての候補で指を離してください。
- 確定キーを押す — 選択中の候補で確定します。変換を始めていない(鉛筆の)状態で確定キーを押すと、かなのまま確定します。
候補送りの途中でも、バーに見えている別の候補チップをタップすればそれで確定できます。
何も入力していないときは、空白キーはただの空白(スペース)、改行キーはただの改行(またはアプリの指定する検索などの動作)です。
数字と助数詞
数字キーで打った数字は、そのまま確定されます(変換を待ちません)。そのあとに助数詞のかなを打つと、écritu は直前が数字であることを見て、助数詞の漢字を先頭に出します。
| 打ちかた | 候補の先頭 |
|---|---|
| 2 のあとに もん | 問 — 数字が無ければ『門』や『物』が先に出る読みです |
| 3 のあとに がい | 階 |
| 5 のあとに ほん | 本 |
| 100 のあとに かぶ | 株 |
助数詞は200種類あまり用意してあります。日常のもの(個・回・人・枚・本・階・名・組・品・桁・割…)から、古い単位(匁・斤・尋・斛)や専門分野のもの(化学の員環、囲碁将棋の手、大学の講時)まで含みます。
数を尋ねる『何〜』も組み立てます。なんもん→何問、なんがい→何階、なんけた→何桁 のように、助数詞として使える読みなら『何』を付けた形が候補に出ます。ただし辞書にある語のほうが上に出ることもあります(『なんもん』なら『難問』が先頭で、『何問』はその後ろです)。
かなだけで打ったときは助数詞の昇格は起きません。『さんま』が『3間』にならないのはそのためです。数字を打ったときだけ助数詞として扱います。
『1か所』『数か月』『何か国』のかの表記(か / 箇 / ヶ / カ / ヵ …)は、どれを出すか・どの順で出すかを設定で決められます(第8章『助数詞型suffixe / 数詞類別suffixe – ka』)。
きょう・あさって・らいげつ — 実際の日付
きょう・あした・あさってのような日を指す言葉を打つと、候補の3〜4番目と6番目以降に実際の日付と曜日が並びます(5番目は言葉の3番目の候補)。10月8日(木)に あさって と打てば『明後日』『あさって』『10月10日』『10月10日(土)』『朝って』のあとに『10月10日土曜日』『2026年10月10日』…『土曜日』が出ます。
| 種類 | 読み | 候補の例(日本式) |
|---|---|---|
| 日 | さきおととい / おととい / きのう / きょう / あした / あす / あさって / しあさって(さくじつ・ほんじつ・みょうにち なども) | 10月10日 / 10月10日(土) / 2026年10月10日 / 土曜日 |
| 月 | せんせんげつ / せんげつ / こんげつ / らいげつ / さらいげつ(らいらいげつ も) | 11月 / 2026年11月 |
| 年 | おととし / きょねん / ことし / らいねん / さらいねん(さくねん・みょうねん・らいらいねん なども) | 2027年 |
書式は設定[カレンダー]の日付書式に合わせます。日の書式はカレンダーの書式ドラムの一覧から『03月04日』のような前ゼロの形を除いたもので、フランス式なら『10 octobre 2026』『samedi』、米国式なら『10/10/2026』『October 10, 2026』『Saturday』の系統になります。
日付の候補は日ごとに変わるので学習しません。選んで確定しても、次からも同じ位置に出ます。
カタカナで確定
『サクサク』『モフモフ』のようにカタカナで書きたいときは、変換候補を探さなくても、確定の操作を少し変えるだけでカタカナにできます。方法は3つです。
| 操作 | 動き |
|---|---|
| 入力中に確定キーを長押し | 入力したかながカタカナで確定されます。確定の直前に、末尾のかなチップが一瞬ハイライトされます。 |
| 入力中に確定キーを素早く2回タップ | 1回目のタップでいったんかなのまま確定し、素早い2回目のタップ(0.2秒以内)でいま確定した文字列がカタカナに置き換わります。カタカナへの置き換えは学習にも反映されます。 |
| かなチップ(または読みと同じ候補チップ)を長押し | 候補バー末尾のかなチップを長押し(約0.4秒)すると、カタカナで確定します。 |
ダブルタップの仕組み:écritu は確定キーでかな確定した内容を短時間おぼえていて、直後のもう1タップを受けると、確定済みの文字列を削除してカタカナに置き換えます。ほかのキーを押すとこの記録は消えるので、誤爆の心配はありません。
ひらがな⇄カタカナ入力モード
長いカタカナ語を打つなら、入力モードごとカタカナに切り替える方法もあります。小キーを左にフリックしてください(ガイド文字に『カ』と出ている方向です)。
カタカナモード中は、かなキーで打った文字がそのままカタカナで入力されます。キーの表示もカタカナに変わるので、いまどちらのモードかは一目で分かります。小キーの左フリックのガイドは『ひ』に変わり、もう一度左フリックするとひらがなに戻ります。
濁点・半濁点・小文字 — 修飾キー
下段の小キー(修飾キー)で、濁点・半濁点・小文字を入力します。
| 操作 | モード | 例 |
|---|---|---|
| タップ | 小文字 | 小 →『や』で『ゃ』 |
| 上フリック | ゛(濁点) | ゛→『か』で『が』 |
| 右フリック | ゜(半濁点) | ゜→『は』で『ぱ』 |
初期設定は iPhone 標準と同じ『かなを打った後に修飾キーを押す』後置修飾です(キーの表示はあひるのアイコン)。戦略的初期設定や設定[かな修飾]で選べる前置修飾は『先に小キーを操作してから、次のかなを打つ』順番です。小キーを操作するとキーがアクセント色の枠でハイライトされ、かなキーの表示そのものが修飾後の文字(小文字・濁音・半濁音)に変わります。そのまま1文字打つとモードは自動で解除されます。間違えて入ったときは、もう一度同じ操作をすれば解除できます。
上の図と表は前置修飾のものです。後置修飾では、打ったかなに対して小キーをタップするたびに 小文字→濁点→半濁点 と変わります。修飾方式の詳細と設定は第8章・第9章をご覧ください。なお、下フリックの『…』(3点リーダー)はどちらの方式でも共通です(第1章)。
()ラップモード — 括弧ごと入力
小キーを長押しすると、()ラップモードのオン/オフが切り替わります。オンの間は候補バーのすべての候補が『(候補)』のように括弧付きで表示され、確定すると括弧で包まれた形で入力されます。『(笑)』『(仮)』のような挿入をよく使う方に便利です。
- 何も入力せずにオンにすると、候補バーに『()』のカプセルとチップが表示されます。そのまま確定キーを押すと『()』だけが入力されます。
- 何も入力していない状態で ⌫ を押すか、もう一度小キーを長押しすると、ラップモードは解除されます。確定すると自動的に解除されます。
削除と繰り返し
⌫ はタップで1文字削除、長押しで連続削除(リピート)です。入力中(未確定)のかなは、確定済みの本文より先に、打った順の逆に1文字ずつ消えます。
リピートが始まるまでの時間と削除の速さは設定で調整できます(第8章)。