第10章困ったとき
「送ったはずの文字が消えた」「キーボードが出ない」— écritu を使っていて戸惑いやすい症状を、原因と対処つきでまとめました。多くは iOS の他社製キーボードに共通する仕様で、故障ではありません。
送信したら入力中の文字が消えた
チャットアプリなどで、変換が終わっていない未確定の文字(下線付きで表示されている部分)を残したまま送信ボタンを押すと、手前に確定済みのテキストがある場合、未確定の部分だけがアプリ側で破棄されて送信されます。
対処は次の2つです。
- 確定してから送信する — 確定キーで文字を確定し、下線が消えたのを確かめてから送信ボタンを押します。
- [自動確定(アイドル)]を ON にする — écritu のアプリにある設定で、入力が一定時間止まると未確定の文字を自動で確定します。確定し忘れたまま送信してしまう事故を防げます(第8章)。
パスワード欄でキーボードが出ない
パスワード入力欄などのセキュア入力欄では、iOS の仕様により他社製キーボードは使えません。écritu を選んでいても、これらの欄では自動的に iOS 標準キーボードに切り替わります。入力欄を抜ければ écritu に戻ります。設定のし忘れや故障ではありません。
Apple のキーボードが1回だけ出る
次のような場面で、入力欄をタップしたときに écritu ではなく iOS 標準キーボードが出ることがあります。
- écritu を更新した直後、それまで écritu で入力していたアプリ(メモやメッセージなど)で入力欄をタップしたとき。
- しばらく(20分ほど)入力していなかった後、開いたままだった別のアプリ(SNS など)で入力欄をタップしたとき。
これは、開いたままだったアプリが以前のキーボードとの接続を覚えていて、更新や iOS の整理でキーボード側が入れ替わった後の1回目の呼び出しだけ失敗するために起こります。iOS の仕組みによるもので、他社製キーボードに共通の現象です。écritu の故障や設定の問題ではありません。
変換候補が出ない・極端に少ない
インストール直後や更新直後に、変換候補がほとんど出なかったり、ごく基本的な単語しか変換できなかったりすることがあります。考えられる原因は2つです。
- 辞書の初期化が終わっていない — écritu のアプリを一度開いて、辞書の初期化が終わるまで少し待ってから入力し直してください。
- フルアクセスが OFF — iOS の 設定 › 一般 › キーボード › キーボード › écritu で[フルアクセスを許可]が ON になっているか確認してください(第2章)。
未確定の文字をタップすると消える
変換していない未確定の文字(下線付きの部分)を指でタップすると、その文字が画面から消えてしまうことがあります。入力した内容は失われていません — 続けて次の文字を打つと、消えたように見えていた文字が戻って、その続きから入力できます。
これは、未確定の文字の上(またはすぐ近く)をタップしたときにアプリ側が表示を止めてしまい、そのことが écritu に伝わらないために起きます。Apple 純正キーボードでは、同じ操作で文節の区切りを指定する縦棒カーソルが出ますが、あの仕組みは OS がキーボードと直結している純正だけのもので、écritu を含む他社製キーボードからは使えません(タップされたこと自体が届きません)。
回避したいときは、未確定から離れた行をタップするか、確定してからタップしてください。[自動確定(アイドル)](第8章)を ON にしておくと、一定時間で未確定が確定するのでこの現象に出会いにくくなります。
制限事項: 未確定の文字について
écritu は、入力中の文字(未確定)を iOS 標準の仕組み(下線付きで本文に置く方式)で扱っています。そのため、次の制限があります。いずれも現時点では écritu の側で解消できていません。
未確定の文字をタップして編集することはできない
- 途中をタップしても、そこで文節を区切ったりカーソルを置いたりはできません。キーボードに許されているのは、カーソルの前後の文字を読み書きすることだけで、入力欄のどこが指で押されたか、カーソルがどこにあるかは écritu に伝わりません。Apple 純正キーボードの文節区切りの縦棒カーソルも同じ理由で再現できません。
- タップした回の動きはアプリによって、また回によっても違い、未確定が確定される、下線だけが消える、表示が一時的に隠れる(前項)のどれかになります。écritu からはどれが起きたか分かりません。
- 直したいときは、⌫ で打った順の逆に消すか、確定してから直してください。設定[未確定の方式]で mountain view 式を選ぶと、カーソルを未確定の途中に置いて、その左側だけを変換できます。tokushima 式は未確定がキーボードの中にあるので、タップで消えることはありません(本文のカーソル位置には入力中の文字が出ません)。
メッセージなどで入力中に表示が乱れることがある
- メッセージなどのチャットアプリで、未確定の文字があるあいだに会話が動く(相手の発言が届く)と、入力中の文字列が乱れることがあるという報告があります。
- 確認できている範囲は次のとおりです。メッセージで入力が乱れた実例では、アプリ側が écritu に「カーソルの前に文字は無い」と実際と違う内容を伝えていることが記録されていました。écritu は伝えられた内容をもとに確定や置き換えの位置を決めるため、それがずれると、押したキーと違う文字が出たように見えます。
- 相手の発言が届いたことが引き金かどうかは、まだ確認できていません。原因が分かるまでは、次の対処をお願いします。
制限事項: 対応しない入力(方針として)
次の3つは不具合ではなく、écritu の方針として対応していません。今後も対応する予定はありません。
- 幅の広い英数字・記号と、幅の狭いカタカナ。A B 1 2 ? ! ( )のように1字が日本語1字ぶんの幅をとる英数字・記号と、ア イ ウ のように幅の狭いカタカナ(Unicode では U+FF00〜U+FFEF の区画にある文字)は、キーにも記号面にも変換候補にも用意していません。écritu では英数字と記号はいつも A・1・?・( の形で、カタカナはいつも ア・イ・ウ の形で入ります。『?』を打つたびに『?』か『?』かを選ばなくてよい、という écritu の設計そのものがこの方針に基づいています。
- ケータイ入力(トグル入力)。同じキーを続けて押して あ→い→う→え→お と文字を選んでいく、携帯電話の時代からの入力方式には対応しません。écritu のかなキーはフリックで文字を選ぶ前提で設計されていて(第4章)、タップは中央の文字の入力に固定しています。
- 日本語の予測変換。Apple の日本語入力のように、かなを打っている途中で続きの言葉まで候補に出す予測変換はありません。候補バーに出るのは、打った読み全体を変換した候補だけです。長い語も最後まで打てば変換されます。欧文の入力には、英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語の4言語で単語の続きを候補に出す欧文サジェスチョン(第5章)がありますが、日本語にはこれにあたる機能がありません。
キーボードが開くとき表示が一瞬跳ねる
écritu を開いた直後、アプリの入力欄(メッセージアプリの[+]など)が1フレーム(約0.03秒)だけ高い位置に見えてから正しい位置に戻ることがあります。見た目だけの現象で、入力された文字に実害はありません。
iOS はキーボードの枠をいったん大きめ(écritu の高さの約2倍)に開き、écritu が自分の高さを伝えると作り直します。その短い間、アプリ側は大きい枠を基準に入力欄を置くため跳ねて見えます。この枠の初期の大きさは iOS 側が決めており、écritu からは動かせません。écritu 自身の面はこの間は描かないようにしてあります。
キーボードの上に灰色の余白が付くことがある
アプリや開き方によって、キーボードの上(ときに左右)に、角の丸い灰色の余白が付いて、キーボード全体が少し高く見えることがあります。入力や変換には影響しません。
これは iOS 26以降で、他社製キーボードを Apple 純正のアプリ(メッセージ・メモ・Safari など)で使ったときに起きる iOS 側の挙動です。余白は iOS がキーボードの枠の外側に付けるもので、キーボード自身からは塗ることも消すこともできません。Google の Gboard など、ほかの他社製キーボードでも同じように起きます。Instagram などの他社製アプリでは起きにくいと報告されています。écritu は Gboard と同じ高さを申告しているので、余白の出方も Gboard と同じになります。iOS の更新で改善されるのを待つしかない状態です。
参考: Extra margins around custom keyboard extensions in iOS 26 native apps(Apple Developer Forums、英語)
iPad でキーボードの面が出ない(フローティングからフル画面に切り替えたとき)
écritu は iPhone 向けのアプリですが、iPad でも互換モードで使えます。iPad で、画面中央に小さく浮かぶ表示(フローティング)から、画面の幅いっぱいの表示(フル画面)に切り替えた直後、écritu の面が描かれず空の枠だけが出ることがあります。いったんキーボードを閉じて開き直すと、正しく表示されます。
切り替えのあとに iOS がキーボードの画面を作り直さないことが原因で、écritu の側からは直せません。フローティングのまま使う場合と、最初からフル画面で開く場合には起きません。
まれに下線が残って見える
一部のアプリ(メモや Safari など)では、文字を確定したあとも下線だけが残って見えることがまれにあります。これはアプリ側(ホスト側)の描画によるもので、écritu は残った下線を自動で解消する処理を行ないます。見た目だけの現象で、入力された文字に実害はありません。
動作がおかしいときの情報収集
変換を直したはずなのに古い並びが出続けるときは、écritu のアプリの[変換キャッシュ]カードで[変換キャッシュをクリア]を押してください。キーボードは読みごとの変換結果をメモリーに保持していて、それが候補の並びに影響することがあります(学習語彙や追加語彙は消えません)。キーボードを閉じて開き直すか、他のアプリに切り替えても破棄されます。
同じカードの[キーボードが閉じたときにメモリを整理]は、キーボードが画面から消えるたびに変換キャッシュの破棄と使い終わったメモリーの返却を行なう設定です。長時間使い続けたときにキーボードがシステムに強制終了されて標準キーボードに切り替わってしまう問題を抑えます。初期設定はオンで、通常はオンのままにしてください。オフにすると次回表示がわずかに速くなることがありますが、切り替わり問題が起きやすくなります。
上記のどれにも当てはまらない不調が続くときは、アプリのアイコンのメニュー[écritu について]に出るエディション番号と、iOS のバージョン、起きた状況(どのアプリのどんな入力欄か)を添えて、サポート窓口(écritu@merope.pleiades.or.jp)までお知らせください。écritu は入力内容や動作記録を保存・送信しないため、状況の説明が原因の特定に直結します。