écritu 操作マニュアル

第7章語彙と学習

écritu は使うほどにあなたの言葉を覚えます。この章では、変換候補のもとになる[語彙]の種類と、自動学習のしくみ、単語の登録・抑制のしかたを説明します。語彙の管理はすべてホーム画面の[écritu]アプリで行ないます。

écritu の語彙のしくみ(概観)

読みを入力したとき、候補バーに並ぶ変換候補は1つの辞書からではなく、複数の語彙を合わせて作られています。

語彙中身編集
第1語彙・第2語彙écritu に内蔵されたシステム辞書。変換の土台になる数十万語です。読み取り専用(アプリで一覧の閲覧のみ可)
追加語彙あなたが手動で登録した[読み+単語]。登録・編集・削除できます
学習語彙候補の確定操作から自動で覚えた単語。削除のみ(登録は自動)
抑制語彙候補に出したくない[読み+単語]。登録・編集・削除できます
ショートカット語彙顔文字パネルに並べる定型文字列。絵文字・顔文字の確定で先頭に自動追加。登録・編集・削除・並べ替えできます
連絡先iOS の連絡先の姓・名・会社名など。iOS の連絡先アプリで管理
iOS 本体のユーザ辞書iOS の設定に登録した単語。iOS の設定アプリで管理
呼び名について:écritu では[ユーザ辞書]という言葉を iOS 本体の機能(設定 > 一般 > キーボード > ユーザ辞書)だけに使います。écritu 自身の辞書は、手動登録が[追加語彙]、自動学習が[学習語彙]です。

第1語彙・第2語彙は、アプリの[第1語彙を読み込む][第2語彙を読み込む]ボタンで中身を一覧できます(読み取り専用のため、追加や削除はできません)。

学習語彙 — 使うほど賢く

候補バーで候補をタップして確定すると、écritu はその[読み+単語]の組を自動で学習します。同じ読みを次に入力したとき、学習した単語が上位に表示されます。確定のたびに学習スコアが加算されるので、よく使う単語ほど強く優先されます。特別な操作は不要です。

なお、パスワード入力欄のような『入力内容を隠す』印のついた欄では学習は行なわれません(そもそも iOS がこの種の欄では純正キーボードに切り替えるため、écritu で入力すること自体が通常ありません)。iOS がパスワード・ワンタイムコード・クレジットカード番号・ユーザー名・メールアドレス・電話番号用と示している欄や、数字入力用のキーボード種別が指定された欄でも学習しません(プライバシーポリシー)。

かな識別の学習 — [この読みはかなが正しい]

『つもり』『けれど』のように、漢字にせずひらがなのまま使いたい言葉があります。候補バー末尾のかな候補チップ(読みがそのまま並んだチップ)を明示的にタップして確定すると、読みが 6文字以下の場合に限り[この読みはかなが正しい]と学習されます。学習後は、そのかなが変換候補側の先頭にも表示されるようになります。

スペース(変換)キーや確定キーでかなに確定しただけでは、この学習は起きません。かなを覚えさせたいときは、かなチップを直接タップしてください。

学習語彙の管理 — 全削除とリセットの違い

アプリの[学習語彙]カードに、学習済みの単語が一覧表示されます。1件ずつスワイプで削除できるほか、2つのボタンがあります。効果の範囲が違うので注意してください。

学習語彙全削除学習語彙の一覧(リスト)を消します。ただし学習スコア由来の[候補の並びの癖]は残ります。
学習リセット語彙リストも学習スコアも消える、より完全な初期化です。候補の並びを最初の状態に戻したいときはこちらを使います。
フルアクセスがオフの場合:キーボード設定の[フルアクセスを許可]がオフだと、学習語彙と学習スコアは保存されません。その場で候補を選ぶことはできますが、次回に引き継がれません。学習機能を使うにはフルアクセスをオンにしてください(第2章)。

学習語彙の上限(制限事項)

学習語彙は[読み+単語]の組で数えて、全体で 30,000組までです。これを超えると、保存のタイミングで選ばれた回数の少ない組から3,000組をまとめて忘れます。回数が同じ組は読みの順で決まります。最初に覚えた順ではないので、長く使い続けている単語が先に消えることはありません。かな識別の学習(前項)は数に含めますが、忘れる対象にはなりません。

この上限は機能というより安全弁です。毎日30語を新しく覚える使い方でも10,000組に1年かかるので、通常は到達しません。忘れる処理はキーボードの入力を止めずに背景で行なわれます。

追加語彙 — 単語の手動登録

人名・製品名・専門用語など、変換で出にくい単語は[追加語彙]に登録しておくと候補に出るようになります。アプリの[追加語彙]カードで登録欄を開き、[候補](出したい単語)と[よみ]を入力して登録します。登録した単語はキーボードと共有され、候補の優先順位にも反映されます。

追加語彙には、あらかじめ例としていくつかの単語(店名・地名・専門用語など)が入っています。よく使う単語を足していきましょう。最初から入っているもので邪魔なものは削除してかまいません([初期語彙再投入]で戻せます)。

抑制語彙 — 出したくない候補を隠す

逆に、候補に出てきてほしくない単語は[抑制語彙]に登録すると表示されなくなります。登録のしかたは追加語彙と同じで、『単語』と[よみ]を入力します。

抑制は[読み+単語]の組み合わせで適用されるため、同じ単語でも別の読みの候補には影響しません。たとえば『きしゃ→貴社』を抑制しても、別の読みから出る『貴社』はそのまま表示されます。

抑制語彙にも、あらかじめいくつかの組み合わせが入っています。一覧の扱いは追加語彙と同じです。

ショートカット語彙 — 定型文置き場

ショートカット語彙は、よく使う文字列(メールアドレス、あいさつ文、飾り記号など)を顔文字パネルからすぐ呼び出せるようにする語彙です。登録するのは[候補]の文字列だけで、読みは ☻ に固定されています(読みからの変換では出さず、パネル専用にするための仕組みです)。

登録した文字列は、顔文字パネル先頭の[ショートカット]カテゴリー(⚡️)に、内蔵の顔文字とは区切り線で分けられて並びます。並びは設定画面の一覧の順そのもので、[並べ替え]でつまみをドラッグして変えられます。絵文字パネル・顔文字パネルで確定した文字は先頭に自動で足されるので、最近使ったものほど手前に集まります(ショートカット・カテゴリー自身から選んだときは並びを動かしません)。初回起動時には内蔵の初期ショートカットが一覧の末尾に入ります。iOS のユーザ辞書によみ ☻ で登録した単語も、初回起動時と[iOS のユーザ辞書の単語]を[使う]にしたときに、一覧の先頭へ取り込みます(すでにある単語は元の位置のままです。取り込みはキーボードを開いたときに行なわれます)。顔文字パネルの開き方は第6章を参照してください。

連絡先の名前を候補に

iOS の連絡先に登録した姓・名・会社名などを変換候補に出せます。アプリの[iOS の連絡先の姓、名、会社名]カードで3つのモードから選びます。連絡先由来の候補は、同じ読みの一般語が多い場合でも4番目までに1件を前出しします(選択して学習されると、以降はさらに上位に出ます)。

連絡先候補を使わない連絡先由来の候補を表示しません。
一致した名前だけ候補にする(初期設定)姓・名・ニックネームなど、読みが一致した項目のみ表示します。
姓/名一致でフルネームも候補にする姓または名が一致したときに、フルネームも候補に表示します。

この機能を使うには、iOS の連絡先へのアクセス許可が必要です。アプリが許可を求めてきたら[許可]を選んでください。あとから変更する場合は iOS の 設定 > プライバシーとセキュリティ > 連絡先 で écritu を許可します。

iOS 本体のユーザ辞書

iOS の 設定 > 一般 > キーボード > ユーザ辞書 に登録した単語(よみと変換後の語)も、écritu の候補に出せます。アプリの[iOS のユーザ辞書の単語]カードで[使う/使わない]を切り替えます(初期設定は[使う])。

ほかのキーボードと共通で使いたい単語は iOS のユーザ辞書へ、écritu だけで使う単語は追加語彙へ、と使い分けるのがおすすめです。

よみを ☻ にして登録した単語(純正キーボードの顔文字キー向けの登録)は、読みからの変換には出ません。代わりに écritu のショートカット語彙へ取り込みます(ショートカット語彙を参照)。

そのほかの候補ソース

旧仮名遣い候補

『かえる→変へる』『かんがえる→考へる』のような歴史的仮名遣い表記の候補を、変換結果に含めるかを切り替えます。初期設定はオフ(現代仮名遣いのみ)です。短歌・俳句や古い文体の文章を書く方向けのオプションです。

仮名の踊り字候補

かなの繰り返し記号(ゝ ゞ ヽ ヾ)を含む表記(いゝ/こゝ 等)を変換結果に含めるかを切り替えます。初期設定はオフです。追加語彙・学習語彙の語(祇園 さゝ木 など)は、この設定に関わらず出ます。漢字の踊り字『々』(人々/時々 等)はこの設定に関係なく常に有効です。

カタカナ強調表記の候補

辞書には『ウマイ』『コレ』『ばかリ』のような、ふつうの語を雑誌的にカタカナ化した表記(強調表記)が多数収録されています。この設定でその扱いを選べます。抑制=候補に出さない(初期設定)、リスト後方=候補リストの末尾に回す、同列に使う=通常の順位で表示。パンやアンケートのような外来語のカタカナ表記は対象外で、設定に関係なくそのまま使えます。

交ぜ書きの候補

『まん延(蔓延)』『補てん(補填)』『作ひん(作品)』のような、漢字の一部をかなに開いた交ぜ書き表記の扱いを選べます。抑制=候補に出さない(初期設定)、リスト後方=候補リストの末尾に回す、同列に使う=通常の順位で表示。『子ども』のように定着した表記は対象外です。

旧字体・異体字の候補

辞書には『氣持(気持)』『會社(会社)』『變更(変更)』のような古い字体の表記も収録されています。同じ読みに現代の標準字体の候補があるときだけ、古い字体を候補から外します。分類ごとに切り替えられます — 旧字体(氣持・會社・變更)、異体字(飜訳・每日・步道)、見分けにくい字形(嚙む・吞む・讚歌)、略字(仝じ・卆)、紛らわしい別字(聯合)、人名で生きている異体字(邊・龍・嶋)。最後の分類だけ初期設定はオフで、ほかはオンです。

標準字体の候補が無い語(和氣あず未、國場組、守禮門、魚香肉絲 など)はそのまま出ます。人名の姓・名(小野澤、千惠、眞子)は設定に関わらず常に出ます。追加語彙に登録した語も対象外なので、使いたい旧字体の語は追加語彙に入れておけば必ず出せます。

絵文字・顔文字の候補

かな漢字変換の候補に絵文字(😀)と顔文字((^_^))を含めるかを、それぞれ切り替えられます。初期設定はどちらもオンで、『かえる』で🐸、『わーい』で顔文字、といった候補が変換に混ざります。文字だけの候補にしたい場合はオフにしてください。読みからの絵文字変換の詳細は第6章を参照してください。